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2025/05/24

ゼロトルクパター

皆さん、最近「ゼロトルクパター」という言葉を良く耳にしませんか? 普通のパターにはストーク中、フェース面が開閉する力(トルク)が発生しますが、ゼロトルクパターはこのトルクを最小限に抑えた構造を採用しています。一般的なパターと具体的な構造の違いは、シャフトが刺さっている位置とパターヘッドの重心の関係です。一般的なパターはシャフトがパターの重心より前方、フェース面の近くに刺さっていますが、ゼロトルクパターはヘッドの重心にシャフトが刺さっています。しかもこのシャフトはさらにトルクを無くす為に、前方に傾けて斜めに刺さっています。斜めにさす事によってシャフトの軸線(力のかかる方向)とヘッドの重心が完全に一致し、トルクが発生しない構造になっているのだそうです。

 ゼロトルクパターという概念はL.A.B. Golfによって確立され、製品化されました。下記のリンクがL.A.B. Golfパターの公式説明動画です。この動画では、「ライ角バランスパター」と呼んでいますが、ゼロトルクパターの事です。ちなみにL.A.B.という名前はLie Angle Balance (ライ角バランス)の頭文字をとったものです。

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ゼロトルクパターが世間に知られる様になった切っ掛けを作ったのはアダム・スコットです。2022年ごろ、パターイップスに悩んでいたアダム・スコットが初めてL.A.B. Golfのマレット型のゼロトルクパター、Mezz.1 Maxを使い始め、大変奇抜なヘッドの形だった事もあって大きな注目を集めました。アダム・スコットがこの奇抜なパターでイップスを克服できたことから、リッキー・ファウラーやフィル・ミケルソンといった有名プロもL.A.B. Golfのパターを使い始め、その人気に一気に火が付きました。今年の3月に行われたザ・プレーヤーズ選手権では、初日首位に立った3人(ルーカス・グローバー、J.J.スポーン、カミロ・ビジェガス)全員がL.A.B. Golfパターの使用者でした。

 男子、女子共に国内のツアーでも使用者が急増中のL.A.B. Golfパターですが、L.A.B. Golf社はプロにも無償提供していない為パッティングに悩んでいるプロは皆、自費で購入しているそうです。我々アマチュアもL.A.B. Golfパターを試してみたいところですが、アマチュアにとってはちょっと高すぎる値段設定です。最近でこそ、他のメーカーもゼロトルクパターをマーケットに出し始めからなのか、少し値段がこなれてきましたが、それでもAmazonで見ると一本11万円です。1メートル以内は絶対に入るっていうのなら兎も角、なかなかパター一本に10万円以上は出せませんよね?

 

L.A.B. Golfのパターが高いという事もあってか、他メーカーもこぞってゼロトルクパターを出してきました。その筆頭がパター売上ナンバー1のオデッセイです。オデッセイはSquare 2 square というシリーズでゼロトルクパターを出してきました。しかもこのシリーズのラインアップに最近加わった「MAX 1」「MAX STRIPE」はL.A.B.GolfのDF3というリッキー・ファウラーが使用しているモデルと同じ形状でL.A.B. Golfと真っ向勝負です。特許はどうなっているのかと、こちらが心配になるほど、「MAX 1」「MAX STRIPE」とDF3は似ています。それでオデッセイの方は税込で48,400円というDF3の半額以下で買えるのですから、「取りあえず今話題のトルクレスパターを試してみたい」というユーザーは間違いなくオデッセイを選ぶのではないでしょうか?

 そんな中、当社が取り扱っているPXGも、ゼロトルクパターを発売しました。L.A.B. Golfとの大きな違いは、PXGのゼロトルクパターはトウアップバランスだと言う事です。パターにはシャフトを水平な台に寝かせて置いた時にトウが下を向く「トウヒールバランス」、フェース面が上を向く「フェースバランス」、そしてトウが上を向く「トウアップバランス」があります。L.A.B. Golfの「ライ角バランス」というのはこのどれにも当てはまらず、シャフトを台に寝かせて置いた時にフェイス面はどこにも向かず、置いたままのフェイスの向きを維持します。Allan PutterExplained | PXG Equipment この動画の240秒あたりを見ていただければわかりますが、ライ角バランスのパターは、ヘッドをクルクルと回して止まった時のフェイスの向きが一定では有りません。一方PXGのトウアップバランのパターは、355秒あたりを見ていただくと、ヘッドをクルクル回したときに必ずトウを上にして止まります。何でこれが良いのかと言うと、135秒ぐらいからの動画で説明されていますが、フェイス面が自分の構えに対して正しい打ち出し方向に自然と向いてくれて、ストローク中もそのフェイス面がキープされるからです。つまり、この動画の様に自分の手が余計な事さえしなければ(手でフェイス面をコントロールしようとしなければ)、正確なストロークが出来るという魔法みたいなパターなのです。

 「そんなに良いパターなら、自分で試してみろ」と、言われそうなので、私もPXGAllan Putterを購入しました。パターのお陰かどうか、最近ショートパットが前ほどイヤではなくなってきました。「セットアップさえキチンとできれば、後はあまりグリップを強く握らず自分の手が余計な事さえしなければ、このパターではプッシュも引っ掛けも出るわけがないんだ。」と思うと楽な気持ちでパッティング出来るようになりました。

 という事で取りあえず、Allan Putterには満足しています。そしてこのパターにはもう一つ良い所が有ります。それは、ボールがソールの凹みに丁度ハマるようになっているので、ボールをピックアップしやすい、と言う点です(笑)。