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2025/05/01

マキロイの90°

もう3週間経ってしまったのでちょっとタイムリーな話題ではないですが、ローリー・マキロイが優勝して生涯グランドスラムを達成した今年のマスターズ、面白かったですね。というより、「マキロイが自作自演で面白くした」と言う方が正しいかもしれません。なにしろ、最終日の12番ホールを終わった時点で2位に4打差の独走態勢だったのですが、13番ロングでなんとダブルボギー。それも2打目を安全にクリークの手前にレイアップしたにもかかわらず、ピンまで82ヤードの3打目のウェッジショットがショートしてクリークに。結局このホールをダブルボギーにしてしまい、一組先を回るジャスティン・ローズと2打差に。続く14番もボギーで、15番をバーディーとしたローズに遂に並ばれてしまいました。

それでも15番のパー5で林からのセカンドショット、木がスタイミーで真っすぐ狙えない中、大きなフックをかけて見事ツーオン。このホールをバーディーとし、16番でバーディーをとって11アンダーにしたローズに再び並びました。17番ホールも残り196ヤードのセカンドショットをピン手前90センチにつけてバーディー。これで12アンダーとし11アンダーでホールアウトしたローズに1打差をつけて迎えた最終18番ホール。このホールをパーで上がれば優勝という緊張の場面でティーショットはフェアウェイど真ん中のナイスショット。優勝への第一関門を見事に突破。ピンまで残りは125ヤード。これを乗せて2パットで優勝。この時点で、殆どの人がマキロイの優勝を確信したと思います。ところが、なんと125ヤードが乗らずに手前のバンカーに。15番や17番では、我々アマチュアゴルファーには絶対まねの出来ないスーパーショットを放った人が、私でさえ2回に1回位は乗せる事ができる、100ヤード前後のショットを大きくミスるなんて、生涯グランドスラム達成のプレッシャーって言うのは、我々にははかり知れないものがあるのでしょうね。

しかしバンカーに入ったとは言え、サンドセーブ率が60%のマキロイ。と言う事は、まだマキロイの優勝確率はこの時点で60%。絶対に寄せなければならない、プレッシャーのかかるバンカーショットはまずまずのピンまで1.5m。これが入れば優勝で、史上6人目の生涯グランドスラム達成!PGAの統計によると2025年のツアー全体の1.5mのパットを入れる確率は80.72%なので、この時点でマキロイの優勝確率は80%。しかし、これが入らずローズとのプレーオフに。流れは完全にローズのものか、、、2011年に最終日4打差でスタートしたものの、後半で大きく崩れて80を叩き優勝を逃した悪夢の再現でまたマスターズは勝てないのかと、多くの人が思ったと思います。

プレーオフ1ホール目、両選手ともにティーショットはフェアウェイをとらえ、セカンドは先にローズがピンから4.5mにナイスオン。「あー、やっぱりマキロイはマスターズとは縁がないのか、、、」と思いました。全米オープンで2位6回を数えるも、どうしても勝てずに生涯グランドスラムを達成できていないフィル・ミケルソンの顔が浮かびあがりました。ところがここで、マキロイはピン手前90センチにつけるスーパーショット。「マキロイ、プレッシャーに強いのか弱いのか、どっちなんだーい?」(CMの中山きんにくんの口調でお願いします)

結局、ローズが4.5mを外し、マキロイが90センチをキッチリ入れて、マキロイのハラハラドキドキの自作自演劇はマキロイの劇的勝利で幕を閉じました。

 さて前置きが長くなりましたが、本題の「マキロイの90°」です。実はマスターズを見ていて気付いたのですが、添付の動画の様に最近の選手は皆フィニッシュで左脇が90度ほど開いています。

https://youtube.com/shorts/Q1Ss0zgptCo?si=AmOlm7-Bff6sBIvv

勿論、インパクトの時は皆左脇を閉めていますが、最近の飛んで曲がらないスウィングはフォローであまりリストターンをしないでフィニッシュを取るので自然と左脇が大きく開く事になるのだと思います。マキロイの場合は左脇の90°に加え、左肘の角度も90°となっています。以前はよくフォローでは左肘を折りたたむと言われていましたが、マキロイの左肘は90°までしか曲がっていません。これも、フェイスの開閉が少ないから出来る事なのだと思います。

先程のマスターズでのショット動画でも左肘の角度がフィニッシュで90°を維持しているのはマキロイぐらいなので、左肘の90°はあまりマネして出来るものではないと思いますが、左脇の90°はマネすればできるのではないかとフト思い、実際にマネしてみました。これが思ったよりも、すごい結果になりました。左脇を開けてフィニッシュする為にはフォローでなるべくリストターンせずに、左の肩甲骨を背骨方向に寄せて、右肩をターゲット方向に向けていく意識が必要ですが、この意識で実際に球を打つと、今まで打ったことが無いような、力強い球が打てました。アイアンは一番手、ドライバーの飛距離も10ヤード程伸びたような気がします。しかも、このフィニッシュを意識するとリストターンが自然と押さえられるのでフェイスの開閉も少なくなり、フェイスが返り過ぎて左へ引っ掛けたり、フェイスが戻らずに右へプッシュアウトするといったよくあるミスも少なくなった様な気がします。

 今のところいいこと尽くめの左脇90°フィニッシュです。このスウィングをする様になって、3ラウンド程しましたが、スコアは兎も角、ショットの内容には満足しているので、当面はこのスウィングで行ってみようと思います。ちなみに「スコアは兎も角」と言うのは、ショットが良くなると、今度はアプローチがダメになったり、ショートパットが入らなかったり、結局上がってみれば、いつもと同じ様なスコアだという事です。

 私の友人が、ゴルフは「ドリフターズのタンスの引き出しだ。」と言っていました。8時だよ全員集合のコントでやっていた、一つの引き出しを閉めたら別の引き出しが勢いよく飛び出してくるタンスの引き出しです。まさにに言い得て妙。なかなか全部の引き出しが同時に閉まっている状態、つまりドライバーもアイアンもアプローチもパットもすべてが同時に良い状態って言うのは滅多に訪れないんですよね。我々アベレージゴルファーには、、、、