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2024/05/10

KBS

KBSというスティールシャフトのブランドを御存じですか?日本では、スティールシャフトと言えばダイナミックゴールドやプロジェクトXを擁するトゥルーテンパー社か、NS950やモーダスを擁する日本シャフトのどちらかと言うイメージで、KBSというのはご存知ない方が多いと思います。しかし世界のマーケットではKBSを展開しているFST社はトゥルーテンパーに次いでシェアナンバー2、押しも押されぬ世界3大スティールシャフトメーカーの一つです。

KBS2008年に元プレシジョン社が開発し大ヒットしたライフルシャフト(ステップの無いライフルの銃身の様なシャフト)の生みの親であるスティールシャフトデザイナー、キム・ブレイリ―氏と台湾の大手機械製造会社FEMCOグループのシャフト製造子会社FSTとのパートナーシップで生まれたブランドです。KBSというブランド名はKim Braly Signatureの頭文字を取ったものです。FSTはもともとテーラーメイド、キャロウェイ、ピン、タイトリストと言った大手のゴルフメーカーにOEMでシャフトを供給していた会社ですが、ゴルフ業界でライフルシャフトで一躍名を馳せたキム・ブレイリ―氏とのコラボで、自社ブランドの展開に打って出たと言う訳です。

 現在のPGAツアーのトップ20にランクしているプロのアイアンの使用シャフトを見ると、17人がトゥルーテンパー社(ダイナミックゴールド12人、プロジェクトX 5人)で3人がKBSとなっています。流石にトゥルーテンパーの牙城を崩すのは難しいようですが、後発ブランドとしては、なかなか検討していると言えるのではないでしょうか?

 さて、何故KBSの話をしているかと言うと、この度ひょんなことから大島ゴルフセンターがKBSの代理店になったからです。ちょっと話が長くなりますが、どんな「ひょんなこと」が有ったのか、お話しします。

 私は、長い間外資系金融業界で勤めていましたが、オランダ系のING証券と言う会社にいた時に同僚だったジェス・バルタザールという友人がいます。ジェスは日本で育ったフィリピン人ですが、日本ではアメリカンスクールに通っていて、大学はフィリピンに戻ったので、タガログ語(フィリピン語)、英語、日本語の3か国語が完璧に話せるトライリンガルです。

ジェスとは、もうかれこれ30年近い付き合いになりますが、もともと、ジェスがゴルフの道に大きくはまり込む切っ掛けを作ったのが私です。ジェスはそれまでスポーツと言えばテニスしかやってなかったのですが、私が仕切にジェスにゴルフを勧めていたため、私の意を汲んでくれた当時の私の部下が、ジェスと一緒に出場するテニスの試合の帰り掛けにショートコースを予約して、ジェスのゴルフ初体験をセットアップしてもらいました。これをきっかけに、ジェスは見事にゴルフにはまり、翌週以降は毎週末ゴルフに行くようになってしまいました。初めの頃は多摩川の河川敷に言っていたようですが、本コースに出られる位に上達してからは、文字通り毎週メンバーを集めてゴルフに行っていました。勿論私にもジェスから毎週のようにお誘いがありましたが、当時は私も小さい子供が二人いる30代のサラリーマンですので、ゴルフに行けるのは精々月に1回。毎週ジェスにお付き合いする訳には行きません。ジェスに誘われている他の面々も私同様、月イチゴルファーばかりなので、私の周りのゴルファーは皆、「月に一度のゴルフは大概ジェスと一緒に行く」という人ばかりになりました。当然、当時我々がいた会社のゴルフ人口には限りが有るので、ジェスは前の会社の人(ジェスは外資系で何回も転職しているので前の会社の同僚には事欠きません)にも積極的に声をかけ、1年も経った頃には、「月イチゴルフはジェスと一緒」と言うゴルファーが外資系金融業界に20人程はいたのではないかと思います。

ジェスは暫くして古巣のソロモンブラザースという米系の証券会社に戻ったのですが、そのお陰で私もソロモンの方々とゴルフをする機会を多くいただき、その内何名の方とはいまでも頻繁に一緒にラウンドさせていただいています。

ジェスは最近日本ではあまりゴルフをやらずに、もっぱらフィリピンでやっている様で、あまり私にもゴルフのお誘いはありませんが、時たま思い出したように「飲みに行こうよ」と電話が掛かってきます。先日もそんな電話があり、ジェスがソロモンにいたメンバーにも声を掛け5人で飲み会を行いました。

その中の一人に江尻さんという方がいました。江尻さんはゴルフの腕はプロ級のゴルフフリークでジェスの他の「月イチ同伴メンバー」とは違い、毎週のようにジェスとゴルフに行っていた人です。勿論私も江尻さんとは何回か一緒にゴルフに行った事がありますが、江尻さんはソロモンを割と早い時期に退職した事もあって、江尻さんにお会いするのは実に二十数年振りでした。

 話しているうちに、江尻さんはゴルフ好きが高じて現在KBSのジェネラルマネージャーとしてお勤めだと言う事が分かりました。私がゴルフ練習場をやっていて、最近PXGの代理店になったと言う話をすると、「PXGKBSは相性も良いので、KBSの代理店になりませんか?」とのお話をいただきました。たしかにKBSと言うブランドにはちょっとしたプレミアム感もあるので、PXGを選ばれるお客様にもすんなりと受け入れられる様な気がします。シャフト自体の性能や品質は、長らくKBSを愛用しているフィル・ミケルソンを筆頭に、リッキー・ファウラーやジャスティン・ローズ、また最近ではビクター・ホブランやマックス・ホーマといったトッププレーヤに選ばれているシャフトなのですから、問題がある訳がありません。私は、飲み会が終わる頃には、既にKBSの代理店になる事を決めていました。

 以上が「ひょんなこと」ですが、PXGのフィッティング販売を開始して、試打用シャフトの品揃えをどうしようか考えていた時に、たまたま二十数年ぶりに会った知人がPXGと非常に親和性のあるシャフトの会社で代理店開拓をやっていたなんて、なにか運命的なものを感じました。